失語症の概要

失語症

こんにちは 言語聴覚士(ST)のHaboです!
知識の更新のために勉強したことをまとめています.
私と同じ想いのSTさん、学生さん、STって何?って方もよかったら一緒に勉強しませんか?

今回は失語症をテーマに勉強していきましょう!

スピーチチェーン(ことばの鎖)知っていますか?

何気なく行っていることばのやりとり.
そのやりとりはさまざまな段階を経て話し手から聞き手へと送られていきます.
その段階は鎖のようにつながっていることからスピーチチェーンと呼ばれています.

このチェーンのどこかが切れてしまうとことばのやりとりができなくなってしまいます.

今回のテーマである失語症は、緑の丸で囲んだ言語学的段階に問題が生じています.

speechchain

① 話し手の言語学的段階:言語を生み出す段階 大脳の中で処理され、ここで言語を生み出す

② 話し手の生理学的段階:話し言葉を生み出す段階 発声発語器官を動かしてスピーチを生み出す

③ 話し手の音響学的段階:音波となって環境に出力される段階

④ 聞き手の生理学的段階:環境に出力された音波をキャッチする段階

(同時に話し手の耳にフィードバックしてモニターしている) 

⑤ 聞き手の言語学的段階:大脳で言語音を言語学的に処理する段階

失語症の定義

失語症は、大脳の言語領域を含む後天的器質的な損傷によって生じる言語機能の障害です.

言語の表出と理解に関する言語モダリティが障害されるため、
程度の差はありますが、「聴く」「読む」「話す」「書く」全てが障害される症候群です.

その症状は損傷を受けた脳の場所や大きさによって異なります.

失語症のタイプ分類の第1歩(発話の流暢性)

失語症はいくつかのタイプに分類されますが、疾病分類とは異なり、このタイプだ!とはっきり分類できるものではありません.

わかりやすい分類としては発話の流暢性によって分類する「流暢性失語」「非流暢性失語」というボストン学派による分類です.

発話の流暢性とは、話すことがすらすら出るかたどたどしいか.
STとしては流暢性の評価がタイプ分類の第1歩です.

発話の流暢性の評価は、STの「直感的判断」に委ねられている=「定量的」な評価ではないのが現状・・・ですが、下記の評価尺度を参考にしながら判断しています.

・話し言葉の特徴に関するBoston評価尺度プロフィール
・Bensonの流暢性評価(←使用しやすい)
・WAB流暢性評価

どの評価尺度も発話の流暢性を特徴づける項目として、
発話量、メロディ(抑揚)句の長さ、文法、形態、構音能力、努力性、錯語などから判断しています.

ボストン学派のタイプ分類(8つのタイプ分類)

ボストン学派のタイプ分類は流暢性に加えて、復唱・聴覚的理解の3側面の障害の程度により8つのタイプに分けています.

タイプ流暢性復唱聴覚的理解
全失語✖️✖️✖️
ブローカ失語✖️✖️
超皮質性混合失語✖️✖️
超皮質性運動失語✖️
ウェルニッケ失語✖️✖️
伝導失語✖️
超皮質性感覚失語✖️
健忘(失名詞)失語

✖️・○は障害がある・ないではなく、他のモダリティと比べて保たれているかで判断しています.

言語症状の特徴や組み合わせに基づいて分類されていて、臨床的な共通認識を得やすいというメリットがあります.

タイプ分類の合致しないケースも多く、タイプ分類が治療の目的ではありません.
言語症状を整理する(特徴をつかむ)上で有用です.

今日はおわり

今日はここまでです.

また一緒にがんばりましょう!

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